本論文では,単独発声母音の話者照合率の向上をはかるために,母音の特徴量分布に着日した特徴量変換法を提案する。特徴量変換は,特徴量の平均値と標準偏差を用いて標準化した後,各特徴量のノルムを1に正規化するといった2段階で行うものである。話者照合に広く用いられているメル周波数ケプストラム係数,LPCケプストラム係数を用いた話者照合実験の結果,いずれの特徴量においても,5母音の平均話者照合率に3ポイント程度の向上が認められた。提案する特徴量変換によって,特徴量を径方向成分と周方向成分に分離して話者照合実験を行った結果,母音中に含まれる話者性情報は周方向成分により多く含まれていることが分かった。