日本音響学会誌
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法科学的話者照合のための標準化・正規化クロスVQ歪みの利用
長内 隆尾関 和彦谷本 益巳
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2007 年 63 巻 12 号 p. 708-715

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抄録

本論文では,二つの音声資料が同一の話者によって発声されたものであるか否かを判断する法科学的な話者照合手法を提案する。提案手法は,照合する音声資料の一方で作成したVQコードブックと他方の音声資料との間で相互に求めたVQ歪みを利用するものである。このVQ歪みは,二つの音声資料を学習用,テスト用として役割を交換して相互に求めるもので,クロスVQ歪みと呼ぶ。ここでは,多数話者コードブックに対するVQ歪みで正規化した正規化クロスVQ歪みと標準化・正規化変換を施した標準化・正規化クロスVQ歪みの2種類について検討する。10秒程度以下の発話を対象としたテキスト独立型話者照合実験を行った結果,単純なクロスVQ歪みよりも正規化クロスVQ歪みや標準化・正規化クロスVQ歪みを利用することによって,最大7ポイント程度の話者照合率の向上が認められた。また,発話が短いほど,GMMに対する提案法の優位性が明らかとなった。標準化・正規化変換によって,発話長や発話内容の違いによるしきい値の変動が小さくなったことから,提案法は,発話内容や発話長を制御することができない法科学分野において有効な手法であることが示された。

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© 2007 一般社団法人 日本音響学会
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