空気の音響吸収による音の減衰は年間の気象の変動に伴って複雑に変化している。本研究では,高層気象観測所の気象データを用いて空気吸収による減衰のシミュレーション計算を行い,上空5kmまでの空気吸収による減衰の性状を把握すると共に,上空を通過する航空機からの騒音伝搬に及ぼす空気吸収の影響を検討した。その結果,空気吸収による減衰は現実の気象条件の鉛直分布の年変動によって大きく変化し,地上よりも上空で大きい傾向があること,また,航空機騒音のレベルとそのスペクトルは季節や天気に大きく依存することなどが明らかとなった。