日本音響学会誌
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スペクトル構造の異なる二つの高調波複合音による先行音効果
植松 尚片岡 章俊
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2007 年 63 巻 4 号 p. 187-195

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抄録

全く同一ではない2音がステレオ配置されたスピーカから出された場合について,先行音効果の生起条件を調べる実験を行った。初めに,基本周波数が同じでスペクトル構造のみが異なる18種類の刺激音を用いて,先行音効果の生起について聴取実験を行った。その結果,18種類の刺激音の中で音色,特にその表現語の一つである鋭さが近い2音の場合に,先行音効果が生起する傾向が得られた。次に,上限周波数,及び高周波数帯域のレベルを変化させることで,鋭さを変化させた先行音を用いて,先行音効果が生起するか否かを検討した。その結果,先行音と後続音の3kHz程度までのレベル差が,先行音効果の生起のために重要であることが示された。

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© 2007 一般社団法人 日本音響学会
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