2008 年 64 巻 4 号 p. 208-215
通常の能動騒音制御システムでは,マイクやスピーカの位置などで決められる条件において,最大限の減衰を得るために適応処理が用いられる。しかし実用上は,必ずしも常に最大の減衰量が求められる訳ではない。もし,騒音の周波数特性を任意に操作できるシステムが構築できれば,このシステムを,例えばスピーチプライバシー確保のためにマスキングノイズを放射する新たな音源ととらえることもできる。本論文では,ダクト騒音を仮定し,イコライザによって調整された周波数特性に追従して適応フィルタが動作する,付加的機能を持つシステムを紹介する。実験結果より,誤差信号の周波数特性は,イコライザを通った参照信号を精度よく模擬できることが分かった。