口笛の基本周波数は,ほとんどが500 Hz~5kHzの範囲に収まっているという報告がある。このような一般的な口笛は,Pucker whistleと呼ばれ,口唇部をすぼめる方法で吹鳴される。一方,ヒューマンビートボックスで用いられるHollow whistleと呼ばれる口笛吹鳴法では,Pucker whistleより口唇部の開きが大きく,その基本周波数は500 Hzより低い。この低音域口笛を簡単に吹鳴する方法が明らかとなり,音域を拡大できれば,口笛演奏における表現の幅が広がる。本論文では,声道模型を用いて500 Hz以下の低音域口笛吹鳴法の検討を行った結果について述べる。/a/以外の日本語母音の声道形状モデルを用いることによって,低音域口笛吹鳴時の音域を拡大できることが新たに確認された。