2017 年 20 巻 1 号 p. 79-84
【目的】本研究は,児童後期から思春期の子どもたちの自尊感情の発達的変化および性差について調べることを目的とした。
【方法】小学校4年生から中学3年生および高校2年生の750名(男子365名,女子385名)を対象とし,子ども用自尊感情尺度(卜部,2016)を用いて調査した。因子分析の結果得られた2因子(肯定的感情と否定的感情)について,2要因(学校段階×性)の分散分析を行った。
【結果】以下のような結果が得られた。(a)肯定的感情得点は,小学校から中学校にかけて低下し,中学校と高校で差はなかったが,(b)男子の得点は女子より高かった。(c)否定的感情に関して,男子の得点は,年齢による違いがなかったが,(d)女子の得点は,小学校から中学校にかけて低下し,高校においても同じレベルであった。
【考察】肯定的感情と否定的感情という2因子によって,子どもたちの自尊感情の発達的変化と性差がより明らかになった。性差に関しては,否定的感情が重要な役割を果たしていることがわかった。これらの変化や違いの理由について考察を行った。