抄録
日本のソフトウェア開発の大きな特徴の一つは、開発の前工程では要求仕様や設計に曖昧性を残しつつ、後工程へと進むにつれて最適な設計を前・後工程の開発チーム間で調整を行いながら実施する「刷り合わせ型ソフトウェア開発」にある。この開発スタイルには長所と短所あるが、日本のユーザ企業を対象とした業務系アプリケーションの開発においては、避けて通れないという側面がある。近年急速にすすめられている中国でのオフショア開発においても、この刷り合わせ型ソフトウェア開発が適用されており、それがオフショア開発であるがために生じる言語や文化の差を背景に、開発過程におけるコミュニケーション量増加をはじめとする様々な課題を引き起こしている。