本研究は、検索的な長期間の事例研究を行うことから、原作となるコンテンツのシリーズ化、すなわち複数回のバージョンアップの際の販売促進策の推移についての発見事実を整理し、コンテンツビジネス一般に通じる仮説の導出を試みる。
具体的には、我が国の代表的なコンテンツビジネスである「ポケットモンスター」の関連ビジネス(ポケモンビジネス)に焦点に当て、10年間に渡るコンテンツのバージョンアップに焦点を当てた事例分析を行う。この長期的な事例分析を通じて、原作コンテンツとその派生コンテンツの間の疑似相補性の誘導の変化パターンを整理し、疑似相補性の誘導レベルの3段階を抽出した。
本研究の主張は、原作コンテンツと派生コンテンツのバージョンアップ情報の共有から可能となる、コンテンツ間の疑似相補性の誘導レベルを向上させることがコンテンツビジネスの成功の要因の1つになり得るということである。