世界の半導体産業の成長とは裏腹に、かつて市場を席巻した日本の半導体企業は衰退を続け、2010年代の初めには日本最後のDRAMメーカであったエルピーダも倒産し、その時の負債額は4500億円弱で最大規模であった。一方、韓国企業は圧倒的な競争優位性を獲得しグローバル企業となっている。また、後発参入企業の三星が世界の頂点に君臨している事実は、戦略によるものであるとされる。この三星とエルピーダの違いを、経営戦略の視点から比較分析し、その背景にあるものを明らかにする。結果として、伝統的日本企業はプレミア化志向が高く、グローバリゼーションとの不適合をもたらすため、競争優位性の構築に困難が伴うことを示す。