システム分析はこれまで現状やあるべき姿にかかわってきたが、ここではもう一つのかかわりを取り上げる。IS開発の開発途上で対立案が拮抗することは好ましくない。事前に対立が弁証法的に克服されていることが期待される。そこでは各案の比較ではなく、それらの構成条件の相違を吟味することの方が建設的である。そのためには、システム分析の前半では組織の文化・歴史的分析が求められるが、その方法は共有されていない。そこで、本稿は活動理論を構成条件の表記法とし、方法論として現象学を利用する方法を取り上げる。そして架空の利用事例を通じて、その方法がその弁証法に寄与することを示す。