看護教育学研究
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新人看護師行動の概念化
森 真由美亀岡 智美定廣 和香子舟島 なをみ
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2004 年 13 巻 1 号 p. 51-64

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抄録

本研究の目的は、新人看護師の行動を説明する概念を創出し、その行動の特徴について考察することである。研究方法論には看護概念創出法を適用し、参加観察法により、就職直後3週間の新人看護師と臨床に存在する多様な立場の人々との相互行為場面をデータとして収集した。持続比較分析の結果は、新人看護師の行動が次の9概念により説明できることを示した。9概念とは、【先輩看護師追従による未修得部分の発見と獲得】【看護師としての模範の発見と同一化】【単独実施義務自覚による実践決行と支援要請躊躇】【否定的評価回避失敗と挽回の試み】【目標達成過程からの脱落と復帰】【資源依存による目標達成と資源枯渇による応用開始】【担当業務量時間内処理のための所要時間短縮化】【他者支援受け入れによる専門領域への参入】【臨床状況理解進展による看護の個別化と円滑な業務遂行】である。考察の結果は、新人看護師が看護師としての責務を自覚するあまり他者への支援要請を躊躇したり、否定的評価を避けることに関心を集中させ、知識・技術・情報不足のまま看護や業務を遂行するため、看護目標を達成できず、医療事故を引き起こしやすい状況にあることを示唆した。さらに、これらの行動が、学生から職業人へと立場を移行し、複数の患者を受け持ち業務の量と種類が増大したことを契機として生じる可能性が高く、これを前提に新人看護師支援のあり方を検討する必要性を示唆した。

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© 2004 日本看護教育学学会
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