抄録
本研究の目的は、看護学教員が自己の倫理的行動の改善・調整に向け活用できる、看護学教員としての倫理的行動自己評価尺度を開発することである。尺度の開発は、次に示す3段階の手続きを経た。3段階とは、(1)質的帰納的研究の成果を基盤とした質問項目の作成と尺度化、(2)質問項目の内容的妥当性の検討と修正、(3)1次・2次調査実施による尺度の信頼性・妥当性の検討であった。完成した尺度は、44質問項目からなる4段階リカート型尺度である。1次調査には、看護学教員としての倫理的行動自己評価尺度、教員特性調査紙、看護学教員ロールモデル行動自己評価尺度の3種類の質問紙を用いた。看護学教員1699名に質問紙を郵送し、826名から回答を得(回収率48.6%)、そのうち717名の有効回答を分析した。結果は、クロンバックα信頼性係数が0.94であり、尺度が内的整合性を確保していることを示した。また、尺度の総得点と看護学教員ロールモデル行動自己評価尺度の総得点の相関係数が0.77であり、尺度が基準関連妥当性を確保していることを示した。2次調査においては、看護学教員48名を対象とした再テスト法を実施した。その結果、総得点の相関係数が0.76であり、尺度が安定性を確保していることを示した。これらの結果は、本研究の開発した尺度が信頼性・妥当性を確保していることを示す。