看護教育学研究
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【原著】
看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る経験
南本 ゆみ中山 登志子舟島 なをみ
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2020 年 29 巻 1 号 p. 11-24

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抄録

 本研究の目的は、看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る経験を表す概念を創出し、その特徴を考察することである。看護基礎教育機関退学後5年未満の者11名を対象に、半構造化面接を実施し退学を思案する6ヶ月前から退学に至るまでの経験をデータとして収集した。看護概念創出法を適用し収集したデータを分析した結果、看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る経験を表す19概念を創出した。19概念とは【看護学の学習への期待と学生生活の満喫】【教員からの看護師就業意思決定への干渉受理】【家族への退学願望秘匿と契機獲得による退学願望表出】【退学決断による新たな目標実現に向けた活動】等である。考察の結果、看護基礎教育機関を退学した学生の退学に至る経験を表す19概念が〔授業の目標達成を目指し学習を進める一方、その過程で困難に直面する〕〔青年期の発達課題の克服を困難にする可能性がある〕〔学生と指導者の間の上下関係により、学生が弱者となった結果生じる〕〔最終的に退学を決断し、それを表明するまでの過程により生じる〕〔新たな目標が明確に定まるとそれに向けて尽力する〕の5つの特徴を持つことを示した。教員や実習指導者は、退学した学生が、これらの特徴を持つ経験をしていることを理解することが必要である。

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© 2020 日本看護教育学学会
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