2007 年 23 巻 3 号 p. 251-261
ASTERセンサによって得られた衛星データを使って水稲収量を推定するための回帰式を作成する方法として、重み付き回帰を利用する方法を試みた。2001年と2002年は、衛星データと水稲収量データが得られていて、2004年については衛星データは得られているけれども水稲収量データは一部分しか得られていない場合、2004年の得られていない水稲収量データを推定することを想定し、重回帰式の作成と予測誤差の推定を行った。その結果、重み付き回帰を利用することによって3年間に得られたデータを有効に活用した推定が実現されることが分かった。これは、重み付き回帰を、目的変数に含まれる誤差の非一様性に対処する手段としてだけではなく、データの有効性の程度を反映した回帰を実現するための手段として利用した試みである。更に、重回帰式に代えて加法モデルを用いた場合にも重み付き回帰の効果を確認することができた。しかも、重回帰式を用いた場合よりも加法モデルを用いた場合の方が優れた結果が得られた。