2008 年 24 巻 4 号 p. 217-222
北海道の玉ねぎ畑を対象に、SPOT衛星データとグランドトゥルースから得た分光反射特性を基に、その畑面積を調査した。その結果、玉ねぎは茎葉が細い管状、葉姿が開平型で栽培期間中に土壌全面を被覆することがなく、収穫の20~30日前から茎葉が倒伏するので、他作物に比べて赤域と近赤外域で共に強い分光反射特性があることを明らかにした。この玉ねぎと他作物との分光反射特性の違いを利用し、衛星データを最尤法による教師つき画像分類を行った。これから玉ねぎと判読された画素を抽出し、画素数から面積を集計した結果、実面積63.1haに対して推定面積は53.5haであり、推定率は84.8%となった。実面積に比べ16.2%の過小評価となった原因は、主に圃場境界付近のミクセルが誤分類されるためであった。そこでこのような誤差要因を軽減するため、圃場の輪郭を示す圃場区画データに分類結果を重ね、それぞれの区画がその内側にある多数を占める作物ですべて占有されていると仮定して面積を集計した。その結果、推定面積は61.7ha、推定率は97.8%となり、高い精度で推定することができた。