システム農学
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研究論文
地産地消・旬産旬消による低環境負荷型の観光地に関する研究
立花 潤三中村 龍白木 達朗姥浦 道生後藤 尚弘藤江 幸一
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2009 年 25 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

本研究では、観光地で使用している食材の生産エネルギーと輸送エネルギー消費量を定量化すると共に、地産地消・旬産旬消によるエネルギー削減効果を算出した。まず、静岡県舘山寺温泉の宿泊施設及び飲食店を対象とし使用食材の産地、量を詳しく調査し、産地から舘山寺温泉までの各食材の量や距離から生産及び輸送エネルギーを算出した。各食材の産地を出来るだけ舘山寺温泉から近い産地に変換することで、地産地消による輸送エネルギーの削減効果を明らかにし、また、旬でない食材を旬の時期に変換することで旬産旬消による生産エネルギー削減効果を明らかにした。その結果、輸入率の高い果物類以外は生産エネルギーの方が大きく、全体的に生産エネルギーと輸送エネルギー比は20:3となった。旬産旬消による生産エネルギー削減効果は全体の0.2%、地産地消による輸送エネルギー削減効果は全体の8.0%となった。本研究において、地産地消及び旬産旬消による環境負荷低減効果を同時に定量化出来た事により、持続的観光地に向けた今後の取り組みの方向性を示すことが出来る。また、低環境負荷型観光地という観光客の新しいニーズに対し地産地消・旬産旬消が有効であることが示せた。

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