2012 年 28 巻 1 号 p. 29-45
科爾沁(Horqin)沙地の典型地区である内モンゴル奈曼(Naiman)旗の3村(M、B、S)の自然環境と農(牧)民生活実態の聞き取り調査を行った。結果は、住民を収入の高・中・低により3段階に分けてまとめた。収入構造と生産投入の関係を解析し、科爾沁沙地の持続可能な土地利用を考察した。さらに、環境経済学的視点から、砂漠化地域の持続的土地利用対策を検討した。収入構造を見ると、M村が牧畜業を主とし、B村は農業が主で、S村は半農半牧であった。生産投入の効果はS村が高く、半農半牧の経営戦略が他村に比べて効果的であること、土地生産力が高いことを示唆していた。当地域の持続的発展を実現するには、社会・経済・自然の複合システムを調和させることが重要である。