システム農学
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研究論文
気温変化が野菜栽培に与える影響の予測手法の検討
-生産費からのアプローチ-
小林 慎太郎古家 淳山本 由紀代米満 彩
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2013 年 29 巻 1 号 p. 11-22

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抄録

穀物に比べて作物モデルにより地球温暖化の影響を予測することが困難といわれる野菜を対象とし、生産費を利用した影響予測法の検討を行った。その準備として、気温と生産費の関係について理論的な仮説を設定するとともに、栽培環境の地域性に基づく気温が生産費に影響を与えているかどうかについて統計的検証を行った。その結果、一部の野菜について生産費が気温の影響を受ける傾向が確認された。その要因として、生育適温から外れた環境ではハウス等の適応技術が導入されており、それが生産費に変化を与えている可能性が考えられる。そこでさらに詳細な費目別生産費についても検証したところ、肥料費、薬剤費、光熱動力費、種苗費、管理労働費などで気温との関連が見られ、これらが適応技術に関連していると考えられる。これらの情報に基づけば、野菜栽培へ地球温暖化が与えうる影響を気温に対する生産費の変化として把握し、地域や国の経済に対するその波及から、温暖化の影響や適応策の効果を予測することが可能になる。

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© 2013 システム農学会
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