システム農学
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技術論文
高解像度衛星画像の目視判読による水稲の作付け判別
-茨城県稲敷市を事例として-
福本 昌人吉迫 宏
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2013 年 29 巻 4 号 p. 161-167

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抄録

茨城県稲敷市を事例として、高解像度衛星画像を目視判読して水稲の作付けの有無がどの程度判別できるのかを調査した。対象地域では、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴って、水利施設の損壊や液状化による噴砂が生じ、広い範囲にわたって同年の水稲の作付けが困難になった。用いた衛星画像は、WorldView-2 衛星が2011年6 月29 日に観測した解像度0.5m のパンシャープン画像である。目視判読の経験のない3 名の者がその衛星画像のプリントを目視して区画毎に水稲の作付けの有無を判別した。その判別結果と衛星観測日の翌日に実施した現地踏査の結果を照合して、判別精度を求めた。その結果、判別精度は96.0~97.6%であり、目視判読の未経験者であっても高い精度で水稲の作付け判別を行うことができることがわかった。誤判別された区画の多くは、土壌表面の全体が湿っていた植被率の小さいエン麦作の非水稲作田、または、土壌表面の全体が湿っていた裸地状態(耕起後あるいは代かき後)の非水稲作田であった。判別精度は、衛星観測前の降雨状況に大きく依存していると考察された。

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