システム農学
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技術論文
画像情報に基づく傾斜農地からの降雨流出量計測の試み
-インターバル撮影画像による滞留水の定量化-
綽 宏二郎芝山 道郎坂西 研二神田 英司板橋 直阿部 薫木村 昭彦
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33 巻 (2017) 1 号 p. 11-21

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抄録

傾斜農地で発生する表面流出は、土壌中の肥料成分や重金属等を流域水系へ流入させ、圃場周辺水域の自然生態系に悪影響を及ぼすことが懸念される。従来の表面流出量の観測法としては、集水のために傾斜枠圃場下端を狭め、貯留ますやパーシャルフリュームおよび水位計などを設置して流出量を計測するものが多い。ところが、表面流出により侵食された土壌粒子などが、取水口や水位計周辺に堆積することにより取水が阻害され、滞留水が発生して計測データの一部が信頼性に欠けることがあった。そこで、降雨時に自動で1分間インターバル撮影するカメラを、黒ボク土壌を充填した傾斜枠圃場に設置して観測実験を行った。撮影された画像から、滞留水を目視によって判別し、さらにスケールから読み取った水深と合わせて幾何学的な方法で滞留水体積の推定を試みた。推定滞留水体積は降雨強度に応じて増減していた(r = 0.79***)。実験観測した全5回の降雨中に8回発生した比較的大きな流出において、流出ピーク時とその10分前の滞留水体積の差分は、同時間帯の実測流出量を超えることもあった。真の流出量は実測流出量と滞留水体積増加分との和になるとの仮説モデルに基づき、流出ピーク時10分間の実測降雨量と流出量および推定滞留水体積の差分とから推算した表面流出率は、12~59%だった。

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© 2017 システム農学会
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