2007 年 19 巻 2 号 p. 117-122
骨転移に対する放射線治療は高い除痛効果が期待でき, 第 1 選択の治療法といえる. しかし, 基本的には姑息的もしくは対症的治療であり, 除痛持続期間は数カ月との報告が多い. 今回われわれは肝細胞癌骨転移の症例に対して, TS-1 とCDDP少量併用にて放射線治療を行い, 大変良好な経過が得られた 2 例を経験した. 治療経過中の有害事象もほとんどみられず, 今後, 肝細胞癌の骨転移に対して放射線治療に加え, TS-1/low dose CDDP療法の併用療法が治療の選択肢となりうる可能性が示唆された.