2022 年 17 巻 p. 29-42
目的:本研究は、造血幹細胞移植後に慢性GVHDを発症した患者を支える家族の体験を明らかにし、患者と家族への看護支援を検討することを目的とした。
方法:慢性GVHDと診断を受け、外来通院中の患者の家族9名に半構成的面接を行い、その内容を質的記述的に分析した。
結果:家族は【命があることに感謝する体験】【慢性GVHDの不確かさに苦しむ体験】【思い描いた未来が阻まれる体験】といった体験の中で【家族として支える覚悟をもつ】【今を大事に家族としてできることを模索する】【対立しないように距離をとる】【感情を吐露する】【患者以外の他者と体験をわかちあう】といった取り組みを用いながら患者を支えていた。
考察:長期化する慢性GVHDを有する患者の家族は、先の見えない経過をたどる中で患者の回復を願い、家族として何ができるのかといったことを考え続けていた。その中で患者の状況がとらえ切れないことにより不安や苦痛を感じていることも明らかとなった。したがって患者と家族のコミュニケーションを促す支援や家族が相談できる機会と場の提供が必要であると考える。