テレワークのエネルギー節約効果が注目されている。テレワークに伴う省エネルギー効果は、政府による報告書などこれまでに多くの報告があり、定量的な議論もある。しかしながら、テレワークにより増加すると考えられるテレワーク先(自宅等)でのエネルギー利用は、明らかになっていない。テレワーク先でのエネルギー利用機器のうち、パソコン等個人で使用する機器はテレワーク先でも同様にエネルギーを消費するため、テレワークの省エネ効果は少ない。一方、空調や部屋の照明は、他人との共有が想定される。自宅に人がいて空調等を利用している場合には、テレワークを行っても追加的にエネルギー消費が増えない可能性がある。空調等の他人との共有状況がテレワークの省エネルギー効果を左右する。本年1月に実施したテレワーカーに対する自宅等でのエネルギー利用実態調査の結果では、自宅で仕事をする際、空調は約4割、照明は約6割の人が一人で利用していた。すなわち、テレワークの実施によりオフィスでのエネルギー使用が減少しても、その半分程度のエネルギーがテレワーク先の自宅で増加すると考えられ、省エネ効果はオフィスでの削減分の半分程度と推定される。