抄録
本稿は,最高経営者と内部監査の関係の視点から,内部監査の監査対象のあり方を通じて,モニタリング・モデルにおける内部監査の組織内の位置付けを明確にすることを研究目的とした。
内部監査の監査対象は,主に組織体全体のリスク管理プロセスであるが,最高経営者は内部統制の有効性の確立のためのコンサルティングを求めるので,内部統制の業務プロセスの有効性を評価する内部統制評価部門が,最高経営者直属になる。
一方,「内部統制の手続の無効化」が不正の大きな要因であり,最高経営者作成の経営方針・経営計画や組織体全体の適法性も内部監査の監査対象とすることが必要で,これらの評価(アシュアランス)により,内部監査は取締役会の監督機能に貢献することになると考える。
したがって,「最高経営者直属の内部統制評価部門」とは別に,「取締役会直属の内部監査部門」を,独立社外取締役の取締役会議長のもとに位置付けるべきである。