抄録
風雨が強い中で傘を差している歩行者の転倒事故など,最も身近な道具の一つである傘の対風挙動は人間の安全にかかわる問題といえる.そこで,風速をステップ上に瞬間的に変化する気流を与えたときに傘に作用する空気力の特性を調べた.傘の姿勢は0°と±45°で固定し,瞬間的に変化する気流を当て,そのときに加わる空気力を測定した.その結果,傘が風下側に傾いているときは,瞬間的に変化する気流と同様に空気力が増加するが,傘が風上側に傾いているときは徐々に増加する結果となった.また,傘が鉛直あるいは風上側に傾いているときは,合力の作用方向が急に変わる結果となった.