日本鳥類標識協会誌
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論文
都市近郊の孤立林における鳥類相とその調査法―埼玉県朝霞市の雑木林の例―
奥山 正樹
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2003 年 17 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

 2001年5月から2002年2月にかけて,埼玉県朝霞市内の孤立した小規模な雑木林で,標識調査とセンサス調査を同時に行った.標識調査では13種(65%),センサス調査では18種(90%)の合計20種が確認され,標識調査のみでは鳥類相を把握する上では十分とはいえなかった.一方,標識調査のみで記録された種も10%あり,センサス調査を補完する上では重要な役割を果たすと考えられた.標識調査のみで確認された種はトラツグミ,センダイムシクイの2種,センサス調査のみで確認された種はツミ,アカゲラ,カワラヒワ,シメ,スズメ,オナガ,ハシブトカラスの7種だった.また,キジバト,メジロはセンサス調査で,モズ,アカハラ,ツグミ,シジュウカラは標識調査で,より優占的に確認される傾向がみられた.調査時刻と確認種数の間に季節的な傾向は特に認められず,両調査法を日出から12~13時ごろまで実施することにより,生息する鳥種のリストアップがおおむね可能であると考えられた.

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© 2003 日本鳥類標識協会
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