行動経済学
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第8回大会プロシーディングス
消費者安全とアノマリー:消費者事故は消費者の自己責任か
高橋 義明
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2014 年 7 巻 p. 41-44

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抄録

様々な消費者事故の発生は2009年の消費者庁設立を求める大きな要因となったが,消費者事故は現在も減少していない.誤使用か否かを消費者と事業者が争っていても事故は減っていかない.むしろ予見される誤使用が存在するのであれば,その発生を事前に予防する措置を採ることが事故を減らす上で重要になる.そこで本稿は消費者安全に対する認知や危険行動についてアンケート調査で尋ね,行動経済学からの知見を得るために危険回避度などと回帰分析を行った.その結果,危険行動を「問題なし」と考えている者は危険行動を行っており,安全学習が一定程度の事故予防につながることが確認された.しかし,それだけに止まらず,せっかちな者がカップ型ゼリーを子どもに与えたり,脚立の天板に立ったりすることが分かった.今後は学習・啓発だけでなく,せっかちな者が事故を起こさないような製品設計などのシステムを構築することが求められる.

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© 2014 行動経済学会
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