日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
原著
気管切開術後閉鎖の検討
竹林 慎治谷上 由城中平 真衣林 泰之木村 俊哉暁 久美子池田 浩己三浦 誠
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 67 巻 3 号 p. 209-216

詳細
抄録

気管切開は,気道の管理のために,日常臨床でしばしば施行される手技であるが,必ずしも有益なことばかりではないため,必要がなくなれば速やかに閉鎖することが望ましい。今回われわれは,適切な気管切開孔の管理を行うために,2010年から2014年の期間に当科で気管切開を施行した162例を検討した。気管切開孔の閉鎖が可能であった症例は87例で,急性炎症に伴う症例はほぼ閉鎖可能であったが,閉鎖不可能だった症例には,腫瘍による狭窄や長期挿管,誤嚥性肺炎による症例が多かった。気管切開孔の閉鎖可能症例について検討すると,カニューレ抜去までの期間が長いと気管切開孔の閉鎖に時間がかかる傾向にあった。気管切開孔の作成方法は,皮膚と気管の縫合が多いと手術時間が長くなる傾向にあり,カニューレ抜去から気管切開孔閉鎖までの期間も長くなる傾向にあったが,長期に開存が予想される症例は,開窓術を選択することがよいと思われた。気管切開孔の閉鎖方法は,状態を考慮しながら,適宜選択することがよいと思われた。

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top