日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
特集:たばこと気管食道科
喫煙者の周術期管理
辻田 美紀北村 晶
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 68 巻 5 号 p. 348-351

詳細
抄録

喫煙は呼吸・循環器機能を含め全身に影響を与えることは広く知られている。しかしながら,周術期禁煙の意義は十分に理解されておらず,多くの施設では明確な禁煙指導の実行がされていない。日本麻酔科学会では2015年に周術期禁煙に対する姿勢を明確にし,外科系各科に働きかけるために「周術期禁煙ガイドライン」を策定した。周術期においては,喫煙者は非喫煙者に比べ,死亡,肺合併症,心合併症,創傷治癒の遷延などのリスクが高くなることが示されている。術前禁煙の期間と効果としては,禁煙後2日での酸素需給の改善,3週で創合併症の減少,4週で呼吸器合併症の頻度低下が報告されており,より長い禁煙期間で効果が高い。手術予定患者にはできるだけ早く術前禁煙を達成させることが重要である。

著者関連情報
© 2017 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top