2018 年 69 巻 3 号 p. 189-196
当科における乳幼児吸気時喘鳴症例について検討を行った。原因は,従来の報告同様喉頭軟弱症が最も多く,そのうち21.4%では声帯運動障害や舌根嚢胞等,他の気道狭窄所見(secondary airway lesions: SALs)を合併していた。SALsは喘鳴の重症度や予後にも影響するため,重症例やSALsを疑う症例では,外来での喉頭内視鏡検査に加え,全身麻酔下喉頭直達鏡検査等を追加して正確な診断を行う必要がある。また背景疾患,挿管歴,低出生体重はrisk factorであった。問診では,これらの既往に加えて喘鳴タイプ(吸気性/呼気性/二相性,急性/慢性)や発症時期,喘鳴を生じる場面や程度,嚥下障害の有無等を十分に把握することが適切な診断および治療法選択には不可欠である。乳幼児は解剖学的・生理学的に気道狭窄をきたしやすく,短期間で重篤になりやすい特徴があることを認識し,迅速な診断かつ対応を行う必要がある。