日本気管食道科学会会報
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症例
頭頸部術後の気管に生じた肉芽・浮腫に対しトリアムシノロンアセトニド局注が有効であった3例
川崎 泰士都築 伸佳富里 周太和佐野 浩一郎
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2018 年 69 巻 6 号 p. 370-376

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抄録

頭頸部手術により気管に外科的侵襲が加わった場合,気管内に肉芽・浮腫が生じ気道狭窄が生じることがある。今回頭頸部手術後に気管内に肉芽・浮腫が生じた3症例を経験し,いずれもトリアムシノロンアセトニドの局所注射が効果的であったので報告する。症例1は50歳女性で,甲状腺癌に対し気管合併切除して気管皮膚瘻とした際に,声門下から気管内に肉芽を生じた。トリアムシノロンアセトニドの局注を3回行ったところ肉芽は消失し,皮弁手術により気管皮膚瘻の閉鎖を行うことができた。症例2は71歳男性で,喉頭摘出後にvoice prosthesis留置を行った後に,voice prosthesis周囲に肉芽を形成し発声困難となった。Voice prosthesisを交換しても肉芽は消失しなかったため,トリアムシノロンアセトニドの局注を3回行った結果,肉芽は消失し発声可能となった。症例3は81歳男性で喉頭気管分離術後の多系統萎縮症患者。永久気管孔後壁が浮腫状となりカニューレ抜去できない状況であった。トリアムシノロンアセトニド局注を2回行い,浮腫は消失しカニューレフリーとなった。

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