反回神経障害に対する喉頭機能回復を目指した神経機能再生治療法の基礎研究について解説する。反回神経障害後の問題点として,(1) 疑核における運動神経細胞死,(2) 神経線維の変性および再生不良,(3) 運動神経終板変性,(4) 喉頭筋萎縮,(5) 過誤神経再生,があげられる。(1)~(4) については,これまでに遺伝子治療などを用いた研究により,一定の効果が報告されてきている。しかしながら (5) 過誤神経再生の問題により,形態的に神経が再生したとしても喉頭運動機能回復の可能性は低い。われわれは (1) 足場としての神経再生誘導チューブの有用性,(2) 感覚神経線維・自律神経線維再生阻害による過誤神経再生抑制効果,を検討した。(1) では再生治療の足場としてのみでなく薬剤徐放性を確認し,drug delivery systemとしての利用も可能であることが証明された。(2) では,運動神経線維-感覚・自律神経線維間の再生阻害による相対的な運動神経線維間の再生促進治療により,比較的高率な声帯運動の回復,運動神経線維の再生促進効果を認めた。今後,声門閉鎖機能再生を目指した声門開大筋への再生阻害治療と (1) (2) を組み合わせることで,喉頭機能再生を目指した治療戦略はさらに発展する可能性がある。