バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
Online ISSN : 2424-2578
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音声波形の時間領域での情報局在性
吉田 秀樹中野 正博行正 徹松村 翔平
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 12 巻 2 号 p. 11-20

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抄録

本研究では、内耳にある蝸牛のフィルタリング処理に後続する簡易な情報抽出法を提案した。蝸牛内の基底膜の振動は周波数帯域を制限した時系列波形に対応しており、時間領域で情報抽出するには、知覚される期間と聞き逃している期間に二分する処理が有効となる。提案する手法は1オクターブ幅の帯域制限波について、振幅包絡が増大する期間を記録に残すものであり、抽出された情報から作成した合成音は、主観評価により原音とほぼ等価な音質を保持していることが観察された。振幅包絡の増大部に後続する波形が時間経過と共に約30%減衰(-3.1dB)すると、マスキング効果により知覚されにくくなり、音声波の振幅包絡の中に低振幅の包絡構造が70.4%在ることが見積もられた。修正した音響構造モデルを提案すると共に、同手法により約2割の情報を削減できた。

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© 2010 Biomedical Fuzzy Systems Association
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