2012 年 14 巻 2 号 p. 51-59
近年,多次元データの解析手法の一つとして自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Maps)が注目されている.従来のSOMによるクラスタリングでは,入力した多次元データを二次元のマップに圧縮することで,類似度に応じたデータの分類を可能にしている.しかしこれには,分類結果を正しく評価するための解析を別途行わなければならないという問題点がある.そこで,従来のSOMに独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)を取り入れ,データをいくつかの成分に分解し,入力データの特徴を含んだ独立成分の抽出および解析を行えるようにする.これにより,上記の問題を解決した高レベルなクラスタリングを行うことが可能になると考えられる.本研究では,このSOMとICAを組み合わせたICASOMを開発し,簡単な混合信号モデルや加速度脈波という生体計測信号にそれぞれ適用することで有効性の検証を行った.その結果,ICASOMは従来のSOMよりも高レベルなクラスタリングが可能であることを実証できた.