バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
Online ISSN : 2424-2578
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授業評価場面におけるfNIRS (functional Near-InfraRed Spectros copy) を用いた評価者の思考過程解明のための予備的研究
川田 拓川﨑 聡大
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キーワード: 授業評価, 専門的技量, fNIRS
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2020 年 22 巻 1 号 p. 59-63

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抄録

本論文は様々な要因が交絡し定量評価が困難である教育場面での授業実践場面を取り上げ実際の教職経験者と教職学習者とを対象に実際の授業VTR を視聴し授業評価を行った際の評価行動および評価行動生起前後の両側前頭前野の血中酸素飽和度の変動を比較し評価者の思考過程の差異を予備的に検討したものである.その結果,対象者間の評価行動総数に有意差は認められなかったが評価行動時のfNIRS 測定値については教職経験者と教職学習者との間に特徴的な反応が示された.また,今回は予備的検討ではあるが経験者については他者の専門的技量を評価する際に自身の過去の経験に基づいたトップダウン的処理が行われていること,そして,新規学習者については状況に依存したボトムアップ的な処理を取る傾向にあることが示唆された.これらの知見は今後のさらなる検討を加えることで医療・教育・福祉といった専門職実習の在り方や卒後教育に資する可能性があると考えている.

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© 2020 Biomedical Fuzzy Systems Association
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