行動計量学
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戦後日本における世代間移動の変動
鹿又 伸夫
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1997 年 24 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

「社会階層と社会移動全国調査」 (1955年から1995年まで10年ごとの5時点) のデータをもちいて, 戦後日本における世代間移動の変動を検討した. 世代間移動表の調査時点別比較では, 事実移動率, 強制移動率, 純粋移動率, そして安田指数などの移動指標は, 移動機会の流動化と平等化がとくに1955-65年と1985-95年の各10年間に進んだことを示していた. さらに, 各調査時点ごとにコーホート別の移動表を作成して各移動指標を計算し, その推移を分析した. その結果, 強制移動率の増加後の減少, そして純粋移動率の増加の持続といったコーホート別にみられた趨勢は, 時点間比較の結果と一致していた. 機会均等の達成度をあらわす安田指数は, 1955-65年と1985-95年の各10年間に平等化が進んだことを示したが, 1965-1985年時点の各コーホートにはあまり変化が見られなかった. これらの結果は, 産業化と平等化の関連を命題化した各種の産業化仮説 (産業化が進むとともに移動機会の平等化が, 趨勢的に進展する, 変化せずに恒常的である, 進展後に損なわれる, とたがいに異なる関連パターンを指摘する仮説) のいずれとも一致しなかった.

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