日本醸造協会誌
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研究
酒類としてのミキの製造
久留 ひろみ吉崎(尾花) 由美子玉置 尚徳和田 浩二伊藤 清
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キーワード: ミキ, 酒類, 糖組成
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2011 年 106 巻 3 号 p. 157-163

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抄録

伝統的なミキは,奄美大島の自然飲料である。通常のミキは乳酸発酵が主体であり,酒類には該当しない。ミキのもろみに,焼酎酵母を仕込み初期から加えると,エタノールが生成し,酒類に該当した。しかし,発酵速度は遅く,発酵歩合も低かった。この理由として,糖化の主体が生イモ由来のβ-アミラーゼであり,生成糖のほとんどがマルトースであるためと考えられた。焼酎酵母は麦汁の発酵性が弱いために発酵が遅れると思われた。そこで,マルトースをグルコースに分解するために,焼酎麹を加えた。焼酎麹は多量のα-グルコシダーゼ等を含有するため,マルトースが効率的にグルコースに分解されると思われた。その結果,発酵が順調に推移した。糖組成の変化はHPLCで追跡したが,焼酎麹の添加により,グルコースの生成が認められた。焼酎麹の添加は,発酵歩合が向上する効果ももたらした。

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