日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
解説
平成25年度における味噌の研究業績
編集部
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 109 巻 6 号 p. 441-447

詳細
抄録

平成25年度における味噌の研究業績としては,関連する微生物の新規酵素,遺伝子機能,発酵微生物のゲノムを活用した研究などがあげられる。原料大豆,麦等の研究は基盤研究として実施されており,味噌原料大豆の育種が着実に行われている。また大豆ゲノム研究成果は今後の育種などに期待される。本年も機能性,おいしさに関する研究報告が比重を増す傾向にあり。味噌製品の加工技術については,韓国等の海外の研究者による日本味噌類似の発酵食品の開発についての特許取得が見られた。おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,年々研究報告数の増加みられ,日本型食生活への回帰,若年層の健康を考えた発酵食品の重要性があらためて認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められ,次第に研究成果が現れてきている。日本食が世界文化遺産に登録されることに伴って,味噌の役割は,健康と食品機能のみならず,調理の観点からも極めて重要であり,新たな展開に向けて製造技術,微生物研究の更なる進展が期待される。

著者関連情報
© 2014 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top