日本醸造協会誌
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研究
理化学的解析による酒造好適米と良食味米の比較
古川 幸子鈴木 啓太郎増村 威宏田中 國介若井 芳則
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2014 年 109 巻 6 号 p. 463-475

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抄録

(1)2007-2009年産の酒造好適米と良食味米を含む11品種12点について,試験米の理化学的特性と酒造適性との関係を検討した。
(2)テンシプレッサーにより測定した試験米の物性には,酒造好適米品種と良食味米品種で有意な差異が見られ,良食味米品種は粘りや付着性が強く,粘りと硬さのバランスが良い結果となった。
 また,米飯表層と全体の物性に多少の違いはあるものの,産年間差異も見られた。2008年産米は,2007年産米および2009年産米と比較して米飯表層と全体のどちらの付着性も低かった。
(3)RVAにより測定した糊化粘度特性にも,酒造好適米品種と良食味米品種とで明確な差異が認められた。酒造好適米品種は最終粘度が高いことから,老化しやすくさばけの良い性質であると確認された。一方で,良食味米品種は最高粘度が高く,セットバックが低いことから,粘りが強く,食味が良い性質であることが確認された。
(4)試料米の酒造適性と物性および糊化粘度特性の相関解析結果から,良食味米品種は清酒醸造における原料利用率が高く,吟醸香の主要成分のひとつであるカプロン酸エチルを多く含む良質な製成酒を醸造することが可能となることが推察された。

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