抄録
麴甘酒の継続的飲用時の安全性を検証するため,空腹時血糖値が正常高値もしくは境界域型の健康な被験者44名を対象とし,麴甘酒群22名とプラセボとして米糖化取群22名にそれぞれ118 gを12週間連続摂取してもらい,無作為化ダブルブラインド法プラセボ対照並行群間比較を行った。全観察期間を通じて副作用及び有害事象は認められなかった。糖代謝関連評価,身体的指標,血液学的検査,血液生化学検査,尿一般検査及び食事調査の結果からは,空腹時血糖が,麴甘酒群で摂取8週後において基準値を超えたが有意差のない一過性の変動であり,それ以外の項目は摂取前と比較して有意な変動が認められたものはあったが全て標準範囲内での変動であった。糖化ストレス(AGEs増加)に伴うインスリン分泌低下が麴甘酒群で緩和される可能性が示唆された。以上のことから麴甘酒を1日あたり118 gを継続的に飲用することは安全性に問題ないと判断した。また,抗加齢QOL共通問診の結果から,麴甘酒の機能性として関節痛を緩和する可能性が見出された。