日本釀造協會雜誌
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「ウイリア・アノマラ」果實様「エスター」形成の機作に就て
山田 正一
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1927 年 22 巻 9 号 p. 20-30

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抄録

一、「ウィリア、アノマラ」を、被醗酵性糖液、叉は稀薄酒精溶液に接種する時は特有の「エチルァセテート」臭を登生す
此の際適量の亜硫酸盤を加へて「アルデハイド」を捕獲せば「エスター」臭を得られす、即ち「アルデハイド」は、砂糖→酒精→酷酸叉は單に酒精→酷酸の各中間生成物として存し、「エスター」生成の機作を明示せり
二、「プロピル」、「ブチル」の低級、「アルコール」類の稀薄水溶液に於ても「ウイリア」は明に「アルコール」類に樹癒する酸の「エスター」を生成す其の機作は「エチルエスター」の場合と同様に説明し得らる
三、「アミルァルコール」以上に於ては「エスター」生成は困難なリ
四、各種糖類、「アルコール」類 (酒精醗酵に伴ひ「アミノ」酸等より來る、「フーゼル」油分等) の混在せる場合醗酵によリ各種の「アルコール」類を生じ更に「ウイリァ」によリ各種「エスター」の造成行はるベし
五、實験の範園に於ては、酒精及び酒精を生すべき糖類以外の化合物よリ「ウイリァ」によリ「エチルエスター」臭の發生を認め得ざりき
六、「ウイリァ」による醋酸「エチルエスター」の最高收量は、糖液 (庶糖) に於ては二〇ー二五% 八日目、酒精溶液にては四% 二〇日目に得られたリ、一二% 以上の酒精溶液に於ては該「エスター」臭は認め難し

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