日本釀造協會雜誌
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清酒釀造に於ける原料處理法の研究 (第二報)
掛流しに就いて
武藤 始太郎室谷 博
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1943 年 38 巻 12 号 p. 58-48

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抄録

(1) 掛流の單位時間内流水量と米粒の性状, 溶解糖化, 並醪の醗酵作用との關係を實驗室的に研究した.
(2) 一定量の米に對して掛流し時間が一定でも (30分間) 流水量を約1400cc~8500cc (實驗1は480~5275cc) の間四通りに變化させることに依つて米粒の性質に大なる差異を生じた.即ち流水量の増大に從ひ蒸米は仕込後吸水性大となり崩れ易く, 醪は粘稠となり, 溶解糖化共に良好となる.恰も掛流時間の長短による影響と同様の關係を示した.
(3) アミノ酸の生成量は3囘の實驗中物料の濃厚な場合は流水量の多量なるに從つて減少したが薄い場合は一定の段階的差異を示さなかつた.
(4) 醗酵作用は本實驗範圍内の流水量の差によつては殆んど影響を認めなかつた.然し醗酵に對し糖分の集積量の少ない場合はEのCO2の發生量が他に比し稍多い傾があつたが糖分の多い濃厚な配合の場合に於てはCO2の發生量はEに至つで稍減少の傾向を示した.醗酵終了液の比重はEが殆んど何れの場合も大となる傾向を見た.
(5) 掛流處理したる浸漬米の風乾物中の灰分量 (乾物中の%) には一定の段階的差異が表はれなかつた.

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