日本釀造協會雜誌
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清酒原料米の化學浸漬と醪加温に關する一經驗
隈 太郎中村 太次郎
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1946 年 41 巻 1-2 号 p. 6-8,5

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抄録

一、掛米原料米の化學浸漬を實地釀造に應用してみて化學浸漬の程度を幾何程度に行ふかを決定する事は寔に難かしい事を經驗したが化學浸漬を行つた掛米の蒸米中から二-三升を採りその製麹の品温状貌經過を標準のものと比較觀察する事に依り化學浸漬の程度を大略決定することが出來、しかも醪の醗酵状態並に製成酒の大略の清酒メートルを仕込當時に於て豫知し得ることを確めた。
二、原料米の高度利用並に甘口酒の釀造を企圖して醪加温法を實地に試みてみた。而して醪加温の方法は特に糖化不充分な固形物のみを簡單な裝置に依つて分離して此の部分にのみ糖化を行はしめることにして實地釀造試驗を行つた。その成績に依ると仕事は容易であり加温並に冷却は迅速に行はれるし粕歩合の少い甘口酒を釀出し得た。且又蛋白質等の分解物が少いから酒質の低下を招來することも認め得なかつた。尚火落、溷濁の恐れの無い事をも確めた。

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