日本釀造協會雜誌
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歩留りを異にせる醤麥について
中野 政弘老海根 英雄四條 徳崇
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1949 年 44 巻 1-2 号 p. 12-16

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抄録

一、歩留を異にせる醤麥間に見られる成分上の著しい差異はその炭水化物の澱粉とペントサンの配合割合にあり、歩留の低いもの程澱粉多く、ペントサンが少く、逆に歩留の高いもの程澱粉が少く、ペントサンが多い。
二、歩留を異にせる醤麥を以て製麹すれば歩留の低いもの程、原料成分の消費は多いが、麹菌の發育はよく酵素力強く、釀造の際窒素の利用率は麹の酵素力に比例してゐる。
三、歩留の高いもの、即ちペントサンの多いものより造つた醤油は糖分、不揮發酸、色素が多い。
四、製品の調味料的價値は、七〇、七五は色淡く未熟の憾あり、八〇最も優れ、八五、九〇は過分解氣味で嫌味あり、劣等である。
五、原料中のペントサンは麹菌の酵素によつては分解され難いが、長期にわたる醤油釀造工程中には大部分分解され、その一部は微生物の榮養源となり消費され、一部は色素化成の源となり、一部は殘糖として殘る。

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