1953 年 48 巻 9 号 p. 352-349
清酒に準じて味淋の品位, 濃さ, 貯蔵中の成分増力等と残存酵素特にこれが組成含有比との関係を総括的に観察した。
1. 品位的に優良なるもの程味淋中に残存せるα-, β-amylase及びproteaseの各作用力は弱力なるものが多いがmaltaseのみは却つて強力である。
2.此等糖化酵素群の組成含有比は品位優良なるもの程其の比率的数値は小にして少なるものが多い。
3.貯蔵中に於ける直糖分の増加率はR (α/β) の比数の大小に支配される。
4.貯蔵中のアミノ酸の増加率は残存proeaseの作用力と一定の比例的関係を有す。
5. 味淋の濃度 (Bème度) と残存α-, β-amylaseの各作用及びこれが酵素組成比R (α/β) の比数との間には比例的関係が認められる。
本実験は名古屋国税局鑑定官室で行われたもので御指導を賜つた田上鑑定官室長に深く感謝致します。