日本釀造協會雜誌
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Disodium ethylendiamine tetraacetic acid による金属イオン封鎖特に除鉄について
山崎 恒
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1955 年 50 巻 2 号 p. 109-107

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抄録

(1) EDTA-Na2によつて清酒のサリチル酸鉄による着色は比較的速かにしかも完全に脱色されることを試験的にたしかめた。
又, EDTA-Na2による醸造用水の除鉄, 除硬モデル試験を行つた結果
(2) 普通Fe+++が最も除去され易く, Fe+++, CaM, Mg++はこの順で除去され, いずれも安定な錯塩作を生成する。
(3) pH5-7附近ではFe+++除去に最も有利で, Ca+++はやや不利である。しかも醸造用水中のFe量はCaにくらべて相当僅少であるから, Fe除去に必要な程度のEDTA-Na2を加えておけばFeのみを除去する目的が比較的簡単に達成出来る。
(4) EDTA-Na2の酵母に及ぼす害作用は極めて鋭敏であるが, 実際醸造には約160万分の1量のEDTA-Na2で除鉄の目的をある程度, 或いは殆んど完全に達することが出来るから, この程度ならば醸造用水に添加しても殆んど醸造に影響がないのではあるまいかと想像されるが, この点更にたしかめる必要がある。
終りに御校閲, 御叱正を賜つた武藤鑑定官室長並びに岩崎鑑定官に深謝します。

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