日本釀造協會雜誌
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合成清酒の香味液釀造の機械化に関する研究
第7報液体麹及び固体麹の酵素力について
飯田 茂次宮坂 正昭能勢 繋三郎沼野 和子
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1956 年 51 巻 7 号 p. 470-465

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抄録

1) 液体麹のprotease activityをAnson, 蔭山氏等の方法で測定して温度に対する抵抗性とpHとの関係を検討した結果, Asp. oryzaeの液体麹のproteaseはpH5.5附近及びそれ以下で熱に対して比較的安定であり, pH6.5以上の場合はpHの上昇と共に著しく不安定となる。
2) これを固体麹のprotease systemについて測定の際の作用基質にmilk casein及び大豆caseinを使用し, 作用温度も1時間と2時間とに変えて比較してみた結果, 両者酵素系の間にはopt. pHと耐熱性との間に著しい相違があつた。
3) 又, 液体麹, 固体麹の液化力, 糖化力を測定した結果, 両者共optimamはそれぞれ同一の処にあるが, 液体麹は液化力が多く糖化力が少いのに対して, 固体麹はこれが全く逆になつている事が分つた。終りに臨み終始御懇切なる御指導を戴いた東大教授坂口謹一郎博士に衷心から感謝すると共に, 常に実験に御協力下さつた室員一同に心から御礼申上げます。尚本研究は合成清酒酒造組合並びに国税庁の試驗研究費によるもので併せて感謝の意を表します。

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