日本釀造協會雜誌
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醤油の色に関する研究 (第2報)
三井 正直草場 英治
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1957 年 52 巻 10 号 p. 822-816

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抄録

1) 前報にて予想した二種の醤油色素は一つは黒野氏らのソヤメラニン酸であり, 他は塩基性錯酸鉛にて沈澱しない色素F2に相当する, という新知見に到達した。猶これは大亦, 上野氏が著者らと相前後して鉛塩にならない塩基性色素であろうと推論している。
2) 色素F2は未だ純化してないが, 水, アルコール以外の普通有機熔媒に不溶, エタノールには87V%以下に可溶, 可視部色調分布はソヤメラニン酸に比し黄色帯大で赤色帯小, 丁度両者の中間に醸造諸味液が位する程度である。
3) メラノイジンを合成し, 窒素ガス吹込焙焼カラメルと共にペーパークロマトグラムを求め第1報の醸造諸味濾液, 普通焙焼カラメルとの関係を求めた。メラノイジンは生揚のスポットよりRf値が高く, 溶媒にグリセリンを使い比較的完全に反応が行われたと思われるものが最もRf値は高く現われた。窒素ガス吹込焙焼カラメルと普通焙焼カラメルとのRf値の間には予想した結果は現われなかつた。(40%エタノールで展開)
4) これら色素液 (11種) の可視部及び紫外部の吸光係数を夫々島津AKA5号D型光電管光度計及びベックマンスペクト質フォトメーターで求めた。
5) 上記のペーパーク#マトグラム (含糖アミノ酸及び普通カラメルを含む) を紫外線の吸収を利用して複写した。
終りに本実験について御指導を受けた九大農学部山崎, 本江両先生並びに発表を快諾された弊社宮島社長小川工場長に感謝します。本報の大要は昭和29年5月22日, 日本農芸化学会西日本支部総会にて, 亦紫外線による複写の項は昭和29年11月9日, 日本醤油技術会にて講演した

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