日本釀造協會雜誌
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清酒もろみの腐造に関する研究 (第1報)
腐造清酒もろみ中より分離した生酸菌の同定
外池 良三百瀬 洋夫
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1961 年 56 巻 6 号 p. 632-628

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抄録

1) 清酒腐造もろみ中より, 圧倒的優位を占める連鎖状短桿の運動性なき一生酸菌を分離した。
2) 培養的性質, こうじ汁寒天斜面に繁殖しない。せんし培養に良く繁殖し, こうじ汁液体培養で良好に生育, 強く混濁。
3) カタラーゼ反応, 硝酸還元性, ゼラチン液化性いずれも (-)。牛乳をよく凝固する。生育適温30℃アルコール13%以上で死滅。
糖類中発酵するもの, glucose, frctose, maltose, sucrose, lactose, inulin, mannitol, arabinose, sorbitol.発酵しないものxylose, rhamnose, starch, glycerol.
4) アルコ-ル生成せず, 生成有機酸は右旋性乳酸のみ, 微量のダイアセチル, アセトインを生成する。
5) 必須ビタミン: panthothenic, folic acid.
6) 要求しないもの: p-amino-benzoic acid, pyridoxal, pyridoxamine.
7) これらの事実からLactobacillus caseiと同定した。

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